2020年の3月末から、日本では緊急事態宣言といって外出自粛がされました。
インターネットやSNSでは、過剰に不安を煽ったり、逆に過剰に開き直ったり、政権批判したり、政権擁護したりと様々でした。
アノミー状態とは?
人間は必ずどこかに帰属しているという意識があります。
家族、友人、知人、学校、会社、国、地球、グループ・・
そこで承認賞賛欲求を得て、自分の身を立てようとします。
当たり前のことです。
この帰属先が多い人は心が強いです。どこかがなくなっても他の場所で認められることができるからです。
逆に、この帰属先がなくなるのを「アノミー(無秩序・無連帯)」と言います。
アノミー状態になると、人は生命の危機を感じて「自分を殺す自殺するか、他人を殺す殺人するか」という二分法思考になります。
例えるならストレスのガス袋がしぼむか、破裂するか、で例えられます。
強制的に帰属集団から切り離された
2020年の感染症の時、当初は多くの人が日本政府を信じました。
これは権威バイアスによる過去の権威への追従がかかったからです。
しかし日本政府が、中小企業が倒産しようとも、日本国民がどれだけ貧困で解雇されようとも、一律に給付金を出したり減税したりして救済することなく見捨てていったので、日本政府への信頼はなくなっていきました。
さらに緊急事態宣言で長期的に自宅での自粛を余儀なくされたので、価値観や心の帰属先がどんどん狭量になっていきました。
帰属集団から切り離されてしまったのです。
人は信じているものがなくなると、精神病と同じ行動を取ります。
アノミー化した行き先が精神病と同じだった
それまで「俺は日本政府を信じる!だから俺は大丈夫!」という自己愛の神話が溶けていき、
自己愛の純資産が毀損、破綻していきました。
するとインターネットやSNSでは、
「すべて夢だった、ウイルスなど存在しなかった」「俺TUEE」という妄想世界へ飛ぶ。
あるいは
「じっとしてろ」「黙って上に協力しろ」と無根拠の権威追従という「これしかない」という収縮された限定世界へ閉塞。
この二極化が起こりました。
「じっとしてろ」「黙って上に協力しろ」と上を信じた人が死んだのは、2018年に韓国のセウォル号沈没事故のようでした。トップが逃げて信頼が消えても、いると信じた人が沈没して死んだのです。
この二極化は、統合失調症とうつ病の違いとよく似ていました。
自己が拡散して統合できなくなるか、収縮して思考の袋小路に入り込むか。
社会問題がそのまま心理投影されて精神病理へと向かうことがよく分かりました。
心を保つために大切なこと
このような場合、大切なのは科学的で合理的な思考です。
数字を比較してみることで冷静になることができます。
「冷静」と「冷笑」は違います。
自分は冷静であると気取って、それによって他人を見下して冷笑するなら、それは単なる不安神経症で全く冷静ではありません。