認知症との共感的コミュニケーションの難しさ

心理学・精神医学

よく認知症の介護などで「共感的に接すれば文句や理不尽な欲求も減りますよ」というがそうとも限りません。

確かに効果のある認知症への共感的な対応

よくある事例のように
「財布がなくなった!お前が盗ったんだろう!」という「もの盗られ妄想」に対して
「違う!」←なんでそんなウソをつくんだ!となってイタチごっこ。人間不信になって状況が悪化する。
「本当?一緒に探してみようか?あっ、あったねー!」←まず「なくなった怒りに共感」してから「探す演技」をして渡すとトラブルなく対処できる。
という方法があります。

私も認知症の祖母に対してこのように対応していました。

確かに感情的に怒ることもなく、比較的に文句や理不尽な欲求も減っていたとは思います。

問題は忘れてしまうこと

ただ問題はその「頻度」です。

認知症のコミュニケーションとしては大正解の対処なのですが、認知症自体がそれを「すぐに忘れる」のです。

すると1時間後にまた「財布がなくなった!お前が盗ったんだろう!」と言いに来ます。

2回程度ならまだ良いのですが、これが一日中、10回近くも続くといよいよこちらも気が狂いそうになります。

独占欲が強いと操作しようとしてくる

人によるが、仲良く共感的に接するようになると、独占欲が働いてきます。

例えば
私が祖母の介護をしていた時、
「お前は家から出て行かなくていいんや」
「そんな親不孝なことしたらいかん」
「介護だけしてればいいんや」

と洗脳のように言われ、

私に関係ある人々や、近隣住民に電話をかけ、
「私の孫は二度と(友人や近隣住民に)会いたくないと言ってるから、家に来ないでね。」
「私の孫は忙しいから会いたくないって言ってる。」
「おばぁちゃんから離れたくないよーといって泣きつくから、わしが面倒見てあげてるんや。」

とデマを振りまきました。

こうなると日頃、「泥棒扱いしているくせに・・私の人間関係まで踏み込んできて・・」と腹立たしさの方が増してしまうのです。

アルツハイマー型認知症の症状と進行1~体験当事者として経緯と症状~

タイトルとURLをコピーしました