祖父母が亡くなって法務局で相続登記しました。通常なら司法書士に作業を依頼するところですが20万円~ほど費用がかかります。
しかし土地と建物の相続額自体が大金でもなかったので自分でやることにしました。もちろん法務局の司法書士の無料相談を受けながらです。
私は1ヶ月ほどかけて合計3回、法務局の相続登記の無料相談窓口へ通いました。
無料相談が週に1回程度しかなかったので、合計3回で3週間程度かかりました。
流れ
1回目は自分なりに資料を作成したのを司法書士に見せて、改めて必要書類の整理の指示受け。
2回目は1回目で指定された書類を提出して間違いの赤ペン添削を受け。
3回目は2回目で添削されたところを直して本提出。法務省に提出して合格。
デメリットとして初めての場合は時間はかかりますが、そんなに難しい作業ではないので一度やればあとは慣れると思います。
ただ一文字も間違えてはいけないので気を使いました。
常に必要とした書類
・家を建てた時の土地の権利書、不動産の登記簿謄本(登記事項証明書)
・固定資産評価証明書
・相続を受ける権利のある人(遺産分割協議に参加した人物)の全員の戸籍謄本[全員](&古い人の場合、改製原戸籍謄本)・住民票
・相続を受ける権利のある人(遺産分割協議に参加した人物)の全員の印鑑証明
※後で返却してもらえますが必ず原本提出。
※戸籍謄本[全員](&古い人の場合、改製原戸籍謄本)は古くても明治時代から家系図が始まっていますが、可能な限り古いものの提出を求められ、三世代前まで遡ったものを提出しました。
必要書類
・登記申請書(土地と建物の登記情報)
・相続関係説明図(登記代理人である自分までの家系図)
・遺産分割協議書(分割を協議した親族のリストとハンコ)
・相続登記委任状(登記代理人である自分への委任状)
これらはどこかに決まった書式があるわけではありません。
インターネットで検索して使えそうなサンプル書類をダウンロードして自分なりに書き換えました。
それぞれ検索すれば参考のサンプルのテンプレートは出てくるはずです。
特に
・登記申請書(土地と建物の登記情報)
が一番難易度が高かったのでここでまとめます。
土地の「所有権移転登記」と建物の「持分移転登記」(登記申請書)
通常であれば、故人が土地も建物も一人で所有しているので土地の「所有権移転登記」、建物を単独登記で「持分移転登記」を両方ともワンセットで
・持分全部移転及び所有権移転×1
という書類1つだけ作って済みます。
しかし私の場合、厄介だったのは登記申請書の書き方。
祖父母が「土地の所有権は祖父」「建物は祖父と祖母で半分ずつ所有していた」(共有持分)ということでした。
これを一つに戻さなくてはいけません。
単独所有の不動産は「所有権移転登記」
共有持分の不動産は「持分移転登記」になります。
相続の場合、持分の一部だけが移転することはなく、持分すべてが移転することになるので「持分全部移転登記」となります。
つまり
土地→祖父が単独所有 →持分全部移転と所有権移転
建物→祖父と祖母の共有持分 →一人ずつ持分全部移転
なので登記申請書が
祖父名 持分全部移転及び所有権移転×1
祖母名 持分全部移転登記×1
というタイトルで2つ作ることになります。
つまり必要書類が祖父と祖母の2部必要になったのです。
課税価格の計算(単独所有の場合)
登記申請書を書いていきます。
・(相続者名)持分全部移転及び所有権移転
例えば、固定資産評価証明書に記載された以下の不動産を相続した場合
(ここでの数字はサンプル用にしています)
土地:1668750円
建物:1766541円
課税価格は1,000円未満が切り捨てで
土地:1668000円
建物:1766000円
となります。
課税価格の欄は「金 3434000円」と書きます。
課税価格の計算(共有持分の持分移転登記の場合)
・(祖父名)持分全部移転及び所有権移転
この事例の場合、祖父が土地と建物半分、祖母が残りの建物半分を持っていました。
土地はそのままの金額で良いのですが、
建物は祖母との共有持分だったので持分移転登記します
・(申請する年度の固定資産評価額)×(移転する持分割合)で算出(1000円未満切り捨て)
建物:1766541円÷2=883,270.5
↓
883271円←切り捨て前
↓
(1,000円未満切り捨て)
↓
883000円←切り捨て後
持ち分二分の一
建物:883000円
土地:1668000円
建物:持分二分の一 883271円
になります。
なので課税価格の欄は土地と建物合計で「金 2552000円」と書きます。
その下に
(土地 1668750円 + 建物 持分二分の一 883271円)
と書いておくと分かりやすいでしょう。書いていても特に問題なく通りました。
↓
こうなります。
課税価格 金 2552000円
(土地 1668750円 + 建物 持分二分の一 883271円)
参考
https://www.legal-solution.jp/souzokutouki/12/
登録免許税の計算
・持分全部移転及び所有権移転
における参考です。
次に登録免許税を計算します。
◯登録免許税額の計算方法登録免許税額
【標準課税の計算(固定資産名寄台帳の評価額の項目から計算)】
1 登録免許税額の計算方法登録免許税額は,原則として次のように計算します。登録免許税額 = (課税標準)×(税率)
固定資産課税台帳の価格とは,固定資産課税明細書において,一般的に「価格」又は「評価額」と表記されている価格であり,「固定資産税課税標準額」ではありません。なお,固定資産課税明3 相続,贈与,財産分与などを原因とする所有権の移転の登記の場合
(2)税 率
相続又は法人の合併による移転及び共有物(その共有物について有していた
持分に応じた価額に対応する部分に限る。)の分割による移転は1000分の4,参考
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm
8 登録免許税の納付登録免許税を納付する場合には,原則として現金を国(税務署等)に納付し,その領収証書を登記の申請書に貼り付けて提出することになります。しかし,登録免許税の額が3万円以下である場合その他特別の場合には,収入印紙を申請書に貼り付けて提出することによって納付することができるものとされています。これらの領収証書又は収入印紙を申請書に貼り付けるには,直接申請書に貼り付けないで別葉の白紙(収入印紙貼付台紙)に貼り
付けてこれを申請書とともにつづり,申請書と白紙との間に契印をしてください(収入印紙には割印や消印をしないでください。)。
登録免許税の計算例 参考
https://souzoku.asahi.com/article/13339249
1.土地・建物の価格ともに”元の数字のまま”、0.004=0.4%を掛けます。(1000円未満を切り捨てた課税価格ではない)
2.次に計算した後の額に100円未満の端数がある場合は切り捨て、計算した後の額が1000円未満の場合は1000円になります。
土地
1668750円*4/1000 (0.004=0.4%)
→6,675円
→計算した後の額に100円未満の端数がある場合は切り捨て、計算した後の額が1000円未満の場合は1000円になります。
→6600円
建物
1766541円(持ち分二分の一)→883271円*4/1000 (0.004=0.4%)→3533.084円
→3533円
→計算した後の額に100円未満の端数がある場合は切り捨て、計算した後の額が1000円未満の場合は1000円になります。
→3500円
(※注意)この事例の場合、持分全部移転及び所有権移転で合わせて申請するので計算の土地6600円+建物3500円をそのまま足してはいけません。
端数を切り捨てる前の登記申請書の登録課税表示総額
3533円+6,675円=10,208
→計算した後の額に100円未満の端数がある場合は切り捨て、計算した後の額が1000円未満の場合は1000円になります。←土地と建物の0.4%を掛けでた数字そのままを足し合わせた後に端数の切り捨て。
→10200円
つまり
登録免許税 金 10200円
です。
課税価格の計算(共有持分の持分移転登記の場合)の残り
祖父の土地と建物共有持分半分は上記で終わりました。
さて、この事例ではまだ祖母の建物のみ共有持分の半分が残っています。
・(祖母名)持分全部移転登記←残りをすべて移転するのでこう書きます。
課税価格の計算
建物:1766541円÷2=883,270.5
↓
883271円←切り捨て前
↓
(1,000円未満切り捨て)
↓
883000円←切り捨て後
持ち分二分の一
建物:883000円
↓
つまり
課税価格 金 883000円
登録免許税の計算
1766541円(持ち分二分の一)→883271円*4/1000 (0.004=0.4%)→3533.084円
→3533円
→計算した後の額に100円未満の端数がある場合は切り捨て、計算した後の額が1000円未満の場合は1000円になります。
→3500円
↓
つまり
登録免許税 金 3500円
まとめ
これで
・登記申請書(土地と建物の登記情報)
の
祖父名 持分全部移転及び所有権移転×1
祖母名 持分全部移転登記×1
の2枚で
登録免許税 金 10200円
登録免許税 金 3500円
を法務局へ小切手を買って貼り付けました。
相続登記の出費は1万3700円で済みました。
固定資産評価証明書に書いてある情報
・登記申請書(土地と建物の登記情報)
には固定資産評価証明書に書いてある情報をそのまま書いていきます。
不動産の表示
【土地】
不動産番号
所 在
地 番
地 目
地 積
【建物】
不動産番号
所 在
家屋番号
種 類
構 造
床 面 積
(持分2分の1)←この記載が必要
(住所)
代理人 印
連絡先の電話番号 ○○○○○
残りの書類
・登記申請書(土地と建物の登記情報)
さえ出来てしまえば、あとはもっと簡単です。
残りの
・相続関係説明図(登記代理人である自分までの家系図)
・遺産分割協議書(分割を協議した親族のリストとハンコ)
・相続登記委任状(登記代理人である自分への委任状)
相続関係説明図はエクセルで作りました。
遺産分割協議書と相続登記委任状はワードで作りました。
検索するとサンプルのテンプレートが見つかるのでそれを自分の家族バージョンに変えて使いました。
遺産分割協議書は遺産相続の権利のある親族が集まった時に全員に本紙と控えと二枚を配り、ハンコをもらって本紙を提出用に回収しました。
その他の一問一答
その他、分からないことは細かく聞きました。
Q.名前に旧字体があるが?
A.旧字体でも新字体でもどちらでもいい。できれば住民票に合わせて。
Q.書類の数字やアルファベットは大文字小文字どちらで書かないといけないか?
A.書体は、旧字体や大文字/小文字/半角等はどちらでもいい。読みやすいように統一して
Q.最終的に祖母は世帯分離しているが関係するか?
A.相続においては関係ない。血縁として書いて。
Q.過去に住宅ローン等を完済した抵当権抹消の登記があるが
A.それは今は相続なので関係なしでいい
Q.相続人は子か孫か。子が養子の場合どうなるか。
A.相続人は養子の嫡出子でいい。孫だと相続税20%ついてしまうので子の方がいい。
Q.固定資産名と数字が違うことがあるが・・
A.後で増えている可能性があるので登記簿謄本(登記事項証明書)を確認して。
何らかの参考になれば幸いです。