●病気・障害をもつ小児と家族の看護
病気に対しては身体的苦痛と恐れ、自己概念・ボディイメージの変容、分離不安、生活制限が挙げられる。これらの胸囲に対して自ら調整しようと対処(コーピング)が行われる。子どもだけでなく家族にも悲しみや不安、罪悪感が生まれるので配慮する必要がある。
看護では同じ治療でも子どもの意思を尊重して苦痛を最小限にとどめて、生活習慣を整えて、遊びや学習の場を提供する。そのためにケアに親も参加・協力して子どもの納得する形での治療を行う。また子どもの理解できる範囲でインフォームドアセントを行う。心理的準備(プレパレーション)では人形や絵を利用して処置を説明する。セルフケア目標では子どもの日常生活の自立度に合わせて検討する。発達段階に応じて睡眠・食事・排泄・清潔等を規則的に整え、それが健康管理の基盤になることを家族にも伝える。
●小児の入院及び外来における看護
◯入院
子どもの入院環境はプライバシーが最大限保護される空間や設備が確保されて家族ともに家族らしくいられることに配慮していく。医療機器などにぶつかって怪我を負わないように子どもと医療者双方から見通しの良い環境づくりを行う。プレイルームや処置室でも遊べるおもちゃや絵本、DVDなどを準備して環境を整える。孤立感を伴うので面会や外泊など家族や生活基盤の痴呆との繋がりを保つことができるように配慮していく。
乳児期や幼児前期は安全基地を失って分離不安が生じる。食欲低下や不眠や発熱や下痢や嘔吐を引き起こすこともある。
幼児後期には指しゃぶりや夜尿などの退行現象を示す子どももいる。
学童期・思春期には友人と同じ生活ができないことで劣等感や孤立感を抱く場合がある。
入院の制限により孤独感や閉塞や圧迫感や無力感にさいなまれる。
緊急入院の場合、子どもと家族は動揺や苦痛や恐怖をいだいている可能性を考慮してアセスメントする。
入院オリエンテーションや基本的な情報聴取、子供と家族への入院生活への適応を備える。子どもの視点に立ったインフォームドアセント、インフォームドコンセント、プレパレーション、デストラクションに努める。
計画的な入院の場合、入院オリエンテーションにおいて子どもと家族が入院をイメージしやすいように情報提供する。夜尿や退行現象には無理に治さず、その背景を分析し、その子にあった生活を支えていく。
不安や苦痛への支援では心理的準備(プレパレーション:絵本やビデオなどで治療や検査を伝えて不安緩和する)を行い、治療・処置・検査に伴う苦痛に関する支援(デストラクション:治療や検査の際におもちゃなどで子どもの意識をそらす)を行う。
子どもと家族の意向を大切にして療養生活へスムーズに移行できるように支援する。
◯外来
安全な環境を整える。危険物を除去するとともに、転倒転落の帽子として柵付きベッド、椅子の高さの配慮をする。子ども用トイレ、洗面所、おむつ替えコーナー、授乳コーナー、給湯設備、遊べるスペースを確保できるようにする。感染症予防としてマスクの着用や消毒用アルコールを常備、おもちゃも衛生的に配慮する。診察後にも家族の不安が軽減できたか、家族が理解しているかの確認、繰り返し説明を行う。慢性的に長期療養を要する子どもはさまざまな健康問題を抱えながら青年期・成人期にいたることも多い。子どもが主体的に自己管理できるように継続支援していく。
看護としては緊急度の把握(トリアージ)を行う。第一印象からの判断をし、次に受診の理由と症状経過、家族でのケア状況の確認をする。体調がすぐれない子どもに対してはベッドで休ませて苦痛や症状緩和する。援助として待ち時間に流れを説明した診察がスムーズに行われるようにする。プライバシーにも配慮する。
検査・処置時にもこれまでの経験や対処方法を確認し、どのように取り組めるのか、何を使うのかなどの説明、家族の同席が必要かどうかを本人に確認、そばに居てもらったり、手を握ってもらったりする。侵襲を伴う処置の場合は家族に退席してもらうこともある。
子どもの恐怖心に共感し、不安を最小限にする環境に整える。終了後は子どもが自分自身の頑張りを実感できるように言葉で頑張りをねぎらう。帰宅後も症状の観察ポイントや悪化の対応や受診のタイミング、日常生活に関すること、食事、薬剤投与の作用・副作用を家族が理解してできるようにする。成長発達に合わせてセルフケアの主体を親から子どもへと移行していく。育児不安に対しても健康診査の際などに悩みや相談を受けて支援していく。