昔、障害者福祉の先生が「なぜ障碍者は自傷行為するのか?」と学生に投げかけたことがあった。
その時の先生の言葉を印象深く覚えている。
『例えば、自分が光も声も味も匂いも何も感じれなくなったとしよう。
当然、他人とコミュニケーションが取れないわけだから、
自分が存在していることすら分からなくなる。
そんな時、唯一自分が自分自身で存在を実感する方法が感覚的な”痛み”しかない。
だから障害者は自分を傷つける自傷行為をする。』
とても納得できる言葉だった。
知的障害者は、
突然に指を噛んだり、自分の手首を血がでるまでかきむしったり、頭を壁にぶつけに行ったりする自傷行為を行う。
これは知的障害者に限らず、人間全てに共通することでもあるからだ。
人が自傷行為をする時は、アノミー(無連帯・無秩序)になったときだ。
リストカットや自殺企図をする。
自分を痛めつけようとして自傷行為をするのではない。
自分の存在を確かめようと自傷行為をするのだ。
「痛み」以外に自分を認識できる方法がないほど、追い詰められているということだ。
このように肯定的に受容することから心理的な対応がスタートする。