なぜICUは全国約17000床あるのに重症者600人弱でひっ迫するのか?指定感染症を外すと解決するのか?
2020年夏にもこの疑問がありましたが、まだ冬になっても勘違いしている人が多いので書きます。
改めてまとめておくと
・実際のICUは全国で約5000床。「コロナ対応できるICUは都市部の三次救急の大病院の一部」しかありません。
・指定感染症を変えても病気は変わりません。急性期病棟へ患者を拡大しても他の患者への感染拡大を助長させるリスクを上げるだけなので、ただでさえ他の病気にも罹りやすい2020年冬(現在)においては悪手です。
なぜICUは全国約17000床あるのに重症者600人弱でひっ迫するのか?
1、ICUは5000床。そのうち対応できるICUはわずかしかない
1,これは「地方も合わせた総数」が約1万7000床です。
(特定集中治療室管理料(5,211床)、救命救急入院料(6,411床)、ハイケアユニット入院医療管理料(5,412床))
この中で、基本はICUの「特定集中治療室管理料(5,211床)」です。
さらに約5000床の中で「コロナ対応できるICUは都市部の三次救急の大病院の一部」しかありません。そこしか受け入れられません。
同じICUでも、
・ECMOに対応可能か?
・呼吸器手術が可能か?
・人工呼吸器の24時間モニタリングが可能か?等々。
これら条件がそろう場所はわずかです。
2、医療者の配置基準と求められる技術力が高すぎるため人手不足
2,ICUは特定集中治療室で、患者2人につき1人の看護師の配置が決められています。
急性期の呼吸器に特化した医療職も集めるとすると、この条件を満たすのは至難の業です。
3、他の病気の重症患者もいる
3,加えてコロナ以外の他の病気の重症患者もいることを忘れてはいけません。
感染拡大を助長させるため、ただでさえ免疫力が弱っている他の疾患の重症患者は同じ部屋で収容できないのです。
感染者数の中の陽性者数の中の→重症者数の中の→死者数・致死率は2%もないのでは?
感染者数の中の陽性者数の中の→重症者数の中の→死者数・致死率は2%もないというよくある話からの、安全論に展開させる間違いがあります。
「インフルエンザより安全。餅の誤嚥の方が危険。」という「疑似相関」
共通して、いきなり日本全国民や世界人口と比較したり、「インフルエンザ」や「肺炎球菌」等の他の疾患や、「餅の誤飲」の事故などの違う母集団の死亡率と比較して、あたかも割合を小さく解釈してしまう罠にハマっているパターンが多いです。
「天気予報で雨の確率70%」を、いきなり「野球の打率も70%で同じ」と置き換えてしまうような間違いです。
「標本母集団」が違います。
これらを「疑似相関」と呼びます。
有名な疑似相関では「プールで溺死した人の数は、ニコラス・ケイジの映画出演数と同じ」というものがあります。
ニコラス・ケイジの映画出演数を減らしても、プールの溺死者数は減りません。
なのに「インフルエンザと同じ!」「餅の誤嚥事故と同じ!」というのは、「プールで溺死した人の数は、ニコラス・ケイジの映画出演数と同じだ!大したことない!」というのと同じです。
「コロナは単なる風邪」というデマ
そうです。風邪です。
なんなら骨折も風邪です。交通事故も風邪です。がんも風邪です。大量出血も風邪です。糖尿病も風邪です。
「風邪」とは正式名称「風邪症状」と呼ばれ、病気の「疾患」の中の「症状」の一つです。
なので、大半のどんな病気は結果的に「風邪」の症状が起こるので風邪です。
「風邪」というと「体調が悪い、気持ちが悪い、頭が痛い」程度の簡単なものを想像する人が多いので「大したことないじゃん」と錯覚させられます。
脳内出血や血管破裂や交通事故で全身骨折の人も「風邪」になりますが、「大したことない」というレベルではないです。
医療単語を知らない一般人を陥(おとし)れるための、言葉遊びの「詭弁」のデマに乗らないことが大切です。
実際に
「インフルエンザと同じ」という主張も、2020年冬にインフルエンザが減り、コロナ患者が増えたことで否定されました。
インフルが減ったらコロナも減らないとおかしいからです。
インフルエンザが減った→コロナは風邪、存在しない!
ではなく、
インフルエンザが減った→コロナが増えた→なぜ?→つまり単離された別の病として存在している分かりやすい証左が起こりました。
実証ともにコロナウイルスが単なる風邪ではないことが明らかになりました。
まとめ
以上のように
「急変しうる無症候性の母集団」
「治療法未確立」
「治療できる受け皿が少ない」
「他の患者への感染拡大の助長」
等々に加え1~3の上記の前提条件を無視してはいけません。
これらの前提を満たす必要があるので、医療がひっ迫するのです。
逆を言えば、他の感染症も流行っている冬の今の現状で指定感染症を解いても現場は変わらず、感染リスクを助長するだけになります。
当たり前だが、いずれは指定感染症は外される
国のシナリオとして、来年の春先には楽観論に乗せていきたいので、今後の流れで限定的に指定感染症を外してきます。すでに保健所から指定感染症を都道府県の判断に任せる提言があります。
例えば、ステージ3以上の都道府県の判断で状況によって指定を変えるなど。
・ただ法的なことは基本は東京都に準ずる結果になります。
リスクを考えると地方自治体レベルで何かあったら責任取れないからです。
現在(2020年度冬)の2類相当ではなく、インフルエンザと同じ5類以下にすべきとの声があります。
しかし結果、現場は今と大して変わらないでしょう。
法を変えても病気は変わりません。急性期病棟へ患者拡大しても、他の患者への感染拡大を助長させるリスクを上げるだけになります。
そもそも今のコロナ騒動は、コロナの感染症が問題で起こっているのであって、法的に2類に指定したことで起こっているわけではないからです。
「赤信号」は交差点での交通事故の防止のために必要であって、「赤信号を進め」と法律を変えたところで交通事故が減るわけではありません。
2類外しは大きな問題を孕んでいる。厚労省や都道府県が責任を回避し、負担を感染者に押しつけるだけになりかねない。それは現行の感染症法では、2類相当を外せば、5類相当とするしかないからだ。5類の代表がインフルだ。コロナがインフルと同じ扱いになる。
コロナは未知の感染症だ。多くの国民がインフルと同等には考えていない。9月12日現在、国内で7万5438人が感染し、1441人が亡くなっている。致死率は1・9%だ。インフルの致死率(0・01~0・1%)とは比べものにならない。
特に高齢者では重症化しやすい。コロナに感染すれば、高齢者にうつすことを危惧する。ホテルなどの宿泊施設での療養が必要となる。
(中略)
もし、コロナが5類相当となれば、感染症法に基づき都道府県の義務とされてきた入院施設の確保と入院措置、宿泊療養施設の確保から解放される。さらに、入院治療費用は公費でなく、通常の健康保険でまかなわれ、自己負担が生じる。そして、休業補償もなくなる。
(中略)
国がやるべきは、コロナを2類相当から外し、宿泊療養施設の確保の責任を放棄することではない。宿泊療養施設の必要性を訴え、関係者の理解と協力を得て、その確保に務めることだ。東京保険医協会 公開日 2020年09月25日
https://www.hokeni.org/docs/2020092500026/
このように
・「法が先」ではなく「病が先」で医療崩壊が起こっているため指定感染症を変えても本末転倒。
・いずれは変えるべきであるが、2020年冬(現在)の最も患者が増える時期、他の感染症のリスクもあるのでこの段階では悪手。
・感染症拡大の助長。
・罹患した場合、自己負担。店を休業した場合も補償がなくなる。経済的悪影響。
と言った理由から2020年・2021年の現状で指定感染症を外すのはあまり好ましくありません。
もちろん治療法が確立されれば、長期的には指定感染症から外れますが、今は外しても何も変わらないどころかデメリットが多いのです。
エボラなど致死率の高いウイルスは、宿主がすぐ死ぬので、感染が広まらず終息。新型コロナの致死率は2.4%と低いので、感染が広まり続け終息しないので、長期的に多数の死者が出ます。
「致死率が低い故に、死者が多くなる」のがポイントです。
アメリカは第二次世界大戦の死者数を超えました。 https://t.co/clDBbm4MOM
— ひろゆき, Hiroyuki Nishimura (@hirox246) December 29, 2020
新型コロナは致死率が2%で発症者の20%に後遺症。
インフルエンザの致死率は0.3%でインフル脳症は0.002%メディアでインフルエンザとコロナウイルスは同等だとデマを流すのは良くないので反論したおいらです。
データに基づかない主張はデマです。https://t.co/9GKEQUZoXQhttps://t.co/Uiae9iTWf9
— ひろゆき, Hiroyuki Nishimura (@hirox246) January 1, 2021