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図:IQの数週間での変化図MRIと蛋白質変化(詳細は下記)

IQとは知能レベルを示す指数です。

ただIQが高いからと言って「知能も高い」というのはウソです。
また、周りと比べて低かったからと言って「もう一生変わらないんだ」と気落ちする必要がありません。

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なぜならIQは「変動値」であって、「固定値」ではないからです。
つまり、練習すれば上限MAXまで上がります。

かく言う私自身もIQの指数を研究の際によく使います。IQ指数は世界中で使われており便宜的ではあるからです。
主に使うのは知的障害・発達障害・精神障害の方などの検討能力の指標とする場合。これが本来の使い方です。

例えば、大脳辺縁系が優位になって不安や恐怖で情動優位になってるときに前頭前野が働いてないとIQは低くなります。
つまり感情や情動に左右されやすい数値なのです。
健常な状態で「おれ、IQ180もあるんだぜ」と自慢されてもそれはその時の状態で容易に左右されますし、そもそも「高さ」の指数ではありません。

おそらくIQを初めて測って周りより相対的に
高かった人は「俺は高い。この数字は信じれる」で、
低かった人は「俺は低い。もうダメだ」と、
「一生変わらない普遍的な絶対数値」のように勘違いしてる人が多いと思います。しかし発達とか障害とかで標準以下の病理的な支援に役立てる数値なので、高さを競っても意味はありません。

いくらIQの高いと自慢する人でも、例えば、今急に後ろにクマに襲われて必死だったとしたら、その時のIQは75以下、それよりもっと低いです。

私はなぜか変動値であるIQを、宗教のように「固定値であり」「絶対であり」「永遠普遍である」と”信仰”する人を「IQ絶対教」の信者と勝手に呼んでいます。
かなり前近代に生きてると思います。

同時に「おれ、IQ180もあるんだぜ」と自慢している瞬間も、IQは75以下の低数値です。なぜなら一部「他者軽視」も「低IQ」と相関するからです。同時に「精神病」とも相関関連があります。

高い人はその時のあなたが偶然高く、あなた以外が偶然、低かっただけです。
低い人はその時のあなたが偶然低く、あなたが以外が偶然、高かっただけです。
気分や感情次第でいくらでも上下に変動します。

実際に「Business Insider」(英文)の記事にもあるように、数週間でIQを上げることができます。
Actually, You Can Change Your IQ If You Work Hard Enough -Business Insider(英文)
https://articles.businessinsider.com/2011-11-29/strategy/30453551_1_iqs-fluid-intelligence-cognitive-training
(翻訳:転載はじめ)
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「IQがアップするという主張を裏付ける研究はいくつもあります。そのうちの一つは、イギリス人の12歳から16歳までの学生を調査したものです。始めに全員のIQを調べて、4年後に再び測ったところ、9%の学生が15%以上アップしていました。これは誤差ではなく、意味のある数値です。MRIでも、灰白質に変化が見られました。」
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(転載終わり)

よく通説的に、IQ75以上~約120以下くらいが健常者で、120以上は自閉症(高機能自閉症)の障害傾向があると言われます。

下の研究では同じく前頭前野の活動低下が、コミュニケーション障害と関連していることを書いています。

コミュニケーション障害は自閉症の人も多く併発する障害、つまり高学歴だったり、IQが高い人も多いです。

IQが低いのとコミュニケーション障害は同じ「前頭前野の活動が弱い」ですが、IQが低い=(イコール)コミュニケーション障害とは言えないという反例的な証拠です。
つまりいくらIQが高くても、大脳辺縁系が優位になって不安や恐怖で情動優位になってるときに前頭前野が働いてない時はIQは低くなったり、感情に左右されるということです。

言葉を重視、脳活動に違い=対人コミュニケーション障害―東大(時事通信)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120623-00000024-jij-soci
(転載はじめ)
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対人コミュニケーション障害(自閉症スペクトラム障害)の成人男性は、相手の顔の表情や声色より言葉の内容を重く受け止める傾向があり、大脳の「内側前頭前野」と呼ばれる部分の活動が通常より弱いことが分かった。

東京大大学院医学系研究科の山末英典准教授らが実験で発見し、米科学誌プロス・ワンに23日発表した。障害の客観的な評価方法や治療法の開発に役立つという。実験は同障害の成人男性15人と年齢や知的能力が同じで障害がない17人を対象に、短い映像を見てもらいながら、機能的磁気共鳴画像装置(fMRI)で脳活動を測定した。
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(転載終わり)

このことは精神科医・和田秀樹氏も指摘していました。
「痛快心理学」和田秀樹

この「痛快心理学」で、和田氏は「IQだけ高くても意味なく、情動指数であるEQと並行して見なくてはいけない」と述べています。IQとEQともに100前後が一番安定していて、あるいは「どちらかに偏ることなく」、両方とも100以上で高いことが望ましいと。
つまり一長一短で、両方の中間が一番適応しやすいのです。

そして
IQ高い人は丸暗記が得意かもしれませんが、性格が冷たく無機質でコミュニケーション障害な傾向があります。そして官僚に多いです。
EQ高い人は情動的で優しいですが、少し感情的でヒステリーな面もあります。医療福祉関係に多いです。

よくIQの話題になると、一度見ただけで全てを完全暗記・暗証して再現できるサヴァン症候群(高機能自閉症)が話題に出されます。

その自閉症サヴァン症候を見て「超記憶で、天才、天才、IQも高い、これは良いことだ。」とIQ絶対教のIQ至高主義者が目指しているのは、詰まるところ「コミュニケーション障害至高主義」なのではないでしょうか。

サヴァン症候群は自閉症ゆえにシナプス異常で「こだわり」が強く、そしてコミュニケーションが苦手で、生活の多くの場面で介護が必要になります。

そういう苦労を知ってか知らずか「IQの高いことは素晴らしい」と言わない方がいいと思います。

どうもIQが絶対だと信じる人は「生得の知恵」が大好きなのではなのではないでしょうか。

つまり「我こそ生来、選ばれし高度な人間であるぞ。」というネイティビズム(固有主義、生来主義)です。

IQは練習すれば誰でも高くなりますが、たぶん最初高かったことが性格的に保守的にさせたのだと思います。

精神病とIQの低さは相関していますし、自尊感情(自信)と学力も相関しています。

裏を返せば、精神病から立ち直る、あるいは精神病の前はIQが高かったわけです。

そこで自信も取り戻せば、また学力もIQも最大上限まで上がってくるようになります。

気落ちしないでください。

↓下の最新の研究記事でも同じことを指摘していました。

なぜ「IQが高い」は「賢い」を意味しないのか
https://linux.slashdot.jp/story/09/11/05/0647237/%E3%81%AA%E3%81%9C%E3%80%8CIQ%E3%81%8C%E9%AB%98%E3%81%84%E3%80%8D%E3%81%AF%E3%80%8C%E8%B3%A2%E3%81%84%E3%80%8D%E3%82%92%E6%84%8F%E5%91%B3%E3%81%97%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%AE%E3%81%8B
Clever fools: Why a high IQ doesn’t mean you’re smart
https://www.newscientist.com/article/mg20427321.000-clever-fools-why-a-high-iq-doesnt-mean-youre-smart.html?full=true
(引用はじめ)
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ブッシュ前米大統領は愚か者呼ばわりされることが多かったが、彼のIQスコアは120以上と推定される。これは全人口の上位10パーセントに入っていることを意味し、決して低い値ではない。しかし側近たちですら、彼の判断力や意志決定能力をあまり高く買っていなかった。IQが高いのに愚かというのは、一体どういうことなのだろう?
この問題に15年間取り組んできたトロント大学の心理学者、Keith Stanovich氏によると、これにはIQテストの持つ限界が関係している(Clever fools: Why a high IQ doesn’t mean you’re smart)。IQテストは論理力や抽象推論力、学習能力、一時記憶能力などといったある特定の精神機能を測定するには極めて有効だが、そうした機能をどこに振り向けるかという理性的判断力を測ることはできないからだ。ハーヴァード大学大学院のDavid Perkins氏いわく

私たちの精神はサーチライトのようなものだ。IQはサーチライトの明るさを測定する。しかし問題は、サーチライトでどこを照らすかということなのだ。

ちなみに、イェール大学の行動経済学者Shane Frederick氏が行った調査によれば、全米トップクラスの大学生3400人に以下の問題を出してみたところ、3問正解できたのはわずか17%、3分の1に至っては一つも正解できなかったという。
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(引用終わり)

この記事の中で、「私たちの精神はサーチライトのようなものだ。IQはサーチライトの明るさを測定する。しかし問題は、サーチライトでどこを照らすかということなのだ。」というのは重要です。

全くその通りで、その部分にスポットライトを当てて、その部分だけを測っているにしか過ぎないからです。

↓下のリチャード・E・ニスベットの研究ではさらに詳しく記載していました。


リチャード・E・ニスベット 水谷 淳(訳) (2010). 頭のでき:決めるのは遺伝か,環境か ダイヤモンド社 pp. 22-23
(Nisbett, R. E. (2009). Intelligent and How to Get It. New York: W. W. Norton & Company)
(転載はじめ)
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IQのスコアからは,どんなことが予測できるだろうか?まず何よりも,学校での成績を予測できる。100年以上前にアルフレッド・ビネーがIQテストを考案したのはまさにそのためだったので,これは驚くにはあたらない。ビネーは,正規教育に向いておらず特別な処置を必要とすると思われる子供を選り分けられるようにしたいと,IQテストを考え出したのだった。今日,典型的な知能テストのスコアと成績との相関は,およそ0.50だ。かなり大きな値だが,学力を予測するうえで,IQテストでは測れない変数をいくつも考える余地はある。
IQテストはおもに「分析的知能」と呼ばれるものを測っていて,「実践的知能」とは区別される。
分析的問題は,たいてい他者の手でつくられ,明確に定義されていて,解くために必要な情報はすべて問題文のなかに盛り込まれており,正しい答が1つしかない。そして,普通は決まった1つの方法でしか答にたどり着けず,多くの場合日常の経験と密接に関連しておらず,その問題自体は特別興味深いものでもない。

「実践的問題」はそれとは対照的に,解くべきものがあることを認識しなければならないが,通常はっきりと定義されておらず,解くうえで関係する情報を探さなければならないことが多い。また,考えられる解が何とおりかあり,たいていは日常の経験に潜んでいて,解くためにはそうした経験がなければならず,そして内発的動機づけを必要とする。

強い遺伝論者の主張をまとめると,次のようになる。IQの変動の4分の3以上は遺伝的なもので,変動の一部は,親には防ぎようのない家庭内での環境要因の違いによるものだ。そして成人になると,家族間での環境の違いによるIQの差異——無作為抽出した家族Aと家族Bの間での差異——はほとんどなくなる。あなたの家族の特性と比べるために無作為にある家族を選べば,あなたの家族より資産が少なく,子供に本を読んでやらず,出来の悪い学校に通わせ,近隣環境が悪く,信じる宗教が違うかもしれないが,そんなことでほとんど違いは生じないというのだ。

IQは知能の一要素にすぎない。実践的知能や創造的知能はIQテストではうまく評価できないが,これらの知能を考慮に入れれば学力と職業上の成功の両方をよりよく予測できる。これらの種類の知能に対する尺度をうまく改良すれば,IQテストによって測られる分析的知能と同じく重要なものになるかもしれない。
どんな種類の知能をどのように測定したとしても,学業や職業上の成功を予測するための指標の1つにしかならない。情緒的なスキル,自制,そしておそらく動機づけや性格に関係する他の要因も重要だ。
このようにIQの重要性には種々の限定条件があるが,さらにつけ加えれば,ほとんどの企業は社員に,一定レベル以上であれば知能をことさら求めていないようだ。それよりも,労働倫理,信頼性,自制,根気強さ,責任感,コミュニケーション力,チームワーク,変化に対する順応性を重んじているという。
つまり,IQが知能のすべてではないし,また,IQのスコアよりも幅広く知能を定義したところで,学業上の成功や職業上の成果に影響を及ぼすただ1つの重要な要因ということにもならない。さらに,学業上の成功だけで職業上の成功を予測することもできない。

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(転載終わり)

要約すると、IQだけで全ては語れず、遺伝的な要因も少なく、ほとんどは「環境要因」で決まるということですね。

そもそもIQを「知能指数」と単純に呼ぶのが誤解を生む原因で「1つの答えを見つける分析力指数」とでも言うべきだったのではないでしょうか。

IQが148以上の高IQ団体メンバーの20歳学生、漢江で自殺図る | 朝鮮日報 https://t.co/jcaNc7DP
(転載はじめ)
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ソウル市内の名門私立大学に在学し、4年間の学費全額を免除されている奨学生が「大学修学能力試験(修能試験=日本の
大学入試センター試験に相当)が台無しになった」と言って漢江で自殺を図り、救助された。高い知能指数(IQ)を有する
人たちの団体「メンサ(Mensa)」のメンバーであるこの学生は、周囲の人たちに「頭が良い自分が、もっといい大学に通え
ないことに怒りを覚える」として、今年再び修能試験を受けた。メンサとはIQが148以上(人口上位2%)の人たちの団体
で、韓国の会員数はおよそ1900人だ。

ソウル江南警察署が19日「『修能試験が台無しになった』として、漢江で入水自殺を図った男子学生(20)を救助し、病
院に搬送した」と発表した。
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(転載終わり)

いまだに韓国では、IQの高さを重要視してクラス分けしているなんて驚いた次第です。日本で言うと何の根拠もない血液型でクラスを分けたようなものです。

個人的には、平均点や偏差値という数字もウソだと思っている(必ず平均に母集団が集中することなんてありえないから。この考え方で低所得者層にもローンを組ませて破綻したのがサブプライム・ローン。)ので、このような考え方こそレイシズム(差別偏見)を助長させるだけだと思います。

「IQの低さと偏見・人種差別主義の傾向に関連」カナダの研究チーム -livedoorNEWS
https://news.livedoor.com/article/detail/6237319/
(転載はじめ)
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カナダ、ブロック大学の研究者チームがこのほど、「人のIQの低さと他に対して偏見を持ったり人種差別的傾向を持ったりすることとは関連がある」とする内容の調査報告を行った。
チリのメディアによれば、調査報告は「子供のころにIQが低いことと、成人してから偏見を持ちやすい傾向、また人と交わる際の保守的傾向とは関連がある」としている。(1月30日付参考消息)
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(転載終わり)

こちらでは偏見や人種差別の傾向とIQの関連を見ています。

案の定、実際に低IQは人種差別とも関連していたようですね。日本でも低IQと他者軽視が相関していたので、うなずける内容です。

IQの一体どこに線引きをしているのか、50なのか75なのか100なのか120なのか、そんな基準なんてありませんが、「自分は高IQだ」「自分は低IQだ」と、どこかにそう線引きして思い込んでいる人の両方の方にメリット・デメリットの分かるような記事内容にしました。

何らかの参考になれば幸いに存じ上げます。