大量発生!極小のクロバネキノコバエ駆除対策の方法!

日々の研究日記

キノコバエ類との戦いと研究の歴史も3年目になります。7月に入ると「あぁ…また奴らが来るのか…」とため息が出ます。
2013年は、給食のパンにハエが混入していたために給食センターが閉鎖となった騒動がありました。
このことは大きくメディアで取り上げられ、SNSでも話題になりました。(※1)

この時「給食センターはこんなものを出すのか」とか、「ハエは無害なんだから食べれるかも」とか、「もったいないけど食物廃棄は良くない」とか、「ハエ付きのパンが食べれるか?食べれないか?」とか、
本筋の問題とは全く関係ないことがテレビや新聞やSNSで議論されていました。

そんな倫理的なことはどうだっていいのです。

本筋の問題とは

「なぜこのキノコバエがここ数年で大量発生しているのか?」


です。

この原因を解明しないと、防ぎようも対処法もありません。

一度、このキノコバエの被害を受けたことのある人なら分かると思いますが、網戸どころかフローリングの床の0.5mm以下の通気口さえも貫通して大量発生する極小のハエなので簡単に「防ぎようなんてない」のです。

キノコバエの基本情報

正式名称「チビクロバネキノコバエ」。

略称で「キノコバエ」「クロキノコバエ」「クロバネキノコバエ」と呼ばれる。

動画↓
キノコバエ大量発生の瞬間!


キノコバエの幼虫

大きさは0.5mm~2mm程度(黒ゴマ程度)
水分を適度に含んだ腐葉土などのある場所(野山、畑、植木鉢等)から発生。
※その発生源が広すぎて特定は不可能。なので地域を限定して田畑や山林に駆除剤を散布しても無意味になる可能性大。
・多くは地面から湧くように這ってやってくる。飛んで入ってくるのは比較的に少ない。(感覚的に地面70%、飛翔30%。)
※コバエポットンなどの設置型の「飛ぶハエ用」の対策はほぼ無意味。
早朝の7時~10時に大量発生する。(7~8時頃が最も多い)
成虫の寿命は4時間程度。大量に湧いて、半日のうちに大量に死んで、こぶし大くらいの死骸の山を残す。それを毎日繰り返す。
・食べ物に集(たか)り、顔や身体にも大量にまとわりつくので不快。
・網戸どころか、窓・ドアを施錠しても、壁のわずかな穴や隙間や部屋の繋ぎ目からさえ大量に入ってくる。
・床の畳はもちろんフローリングからも0.5mm以下の目には見えないような通風口を貫通して湧くように入ってくる。
・「生態がまだ未知」であり、「研究者もほとんどいない」ため対策方法が全くない
・「害虫」ではなく「不快害虫」なので「無害」扱いされ、行政では対策できない。

公的な被害確認事例

・静岡県熱海市では平成19年に大量発生
・愛知県豊橋市では平成22年、23年に大量発生
・広島県広島市では平成22年、23年に大量発生(被害により給食センターが閉鎖)
・愛知県岡崎市では平成23年に大量発生
・京都府宇治市では平成23年に大量発生
・岐阜県多治見市・可児市・御嵩町・富加町・川辺町・八百津町、愛知県豊田市では平成23年、24年、25年に大量発
(被害により一部給食センターが閉鎖)
発生規模が大規模のために保健所や役場側から被害の勧告があったものはこれだけですが、おそらく実際は更に多くあるはずです。
例えば、岐阜県の相談件数は2011年が18件だったのが、2013年には224件にも増えています。(※2)

この2年間の私の戦いの経過を以下よりまとめます。

2012年の戦い
【対策】クロバネキノコバエが大量発生!駆除対策する!【駆除・殺虫】
https://aikansyheiwa.blog21.fc2.com/blog-entry-1196.html
2013年の戦い
進撃のキノコバエ!不快害虫が大量発生!有効な対策方法まとめ!
https://aikansyheiwa.blog21.fc2.com/blog-entry-1969.html

  • 梅雨明けした早朝の7時~10時の晴れた涼しい時間に大量発生するので、その時期・時間を狙って対策すること(6月の中旬頃~9月下旬頃)
  • 「明るい・白い」ところに集まるので、電気を消し、カーテンを閉めていた方が良い
  • 換気扇やクーラーからも入ってくるので7時頃~10時頃にあまりつけないこと
  • 窓枠・天井・床など発生する場所には「黒っぽい紙やボードあるいはシートと、ガムテープで目張り」すること
  • 家の周辺に薬剤を巻くと半減する
  • サキュレーターの風で部屋の隅の一ヶ所に誘導させることが可能(発生時間に事前に起動しておく)、そこにハエ取り紙やハエ取り棒設置
  • 掃除用のコロコロは欠かせない

必需品

建物の周囲に撒く薬剤(一戸建て住宅だと大体2~3本で家一周分です)

目張り用ガムテープ(黒)

掃除用のコロコロ

一箇所に集めるため&まとわりつくのを防ぐためのサキュレーターと捕まえるハエ取り紙・棒

※会社などで自動ドアびっしりや、窓びっしりなど発生規模が大きい場合の工場扇を使いましょう。

新たな対策用の必需品

これらに加え、今回は2つの有効な対策を工夫しました!

1つ目は「黒色の目張り」です。

去年は目張りを紙で白色にしてしまったので防ぎきれなかったのが反省点でした。

なので今年はこれらに加えて黒色の農業用マルチを用意して目張りをしました。ガムテープも黒のものが望ましいです。


目張り用ガムテープ(黒)

ボードより柔軟性があるので汎用性が高いと思います。

クロキノコバエ対策3クロキノコバエ対策1

2つ目は「コバエ用の殺虫スプレー」です。

以下のような商品で、ネット上では効果があると好評でした。

1日に一回、部屋にスプレーすると減ります。

コバエがコロリ コバエがいなくなるスプレー 13.2ml【HTRC2.1】アース製薬

おすだけベープ コバエ用 90回分 【HTRC2.1】

このマルチガードとスプレーのコンボが有効だったのか、今年はまだ数匹しか見受けていません。

なぜこのキノコバエがここ数年で大量発生しているのか?

私自身の経験と、隣家との環境を比較していくらか分かったことがあります。

それは「周期的な大量発生である」ということです。

クロバネキノコバエが水分を適度に含んだ腐葉土などのある場所(野山、畑、植木鉢等)から発生することは確かですが、大量発生する前からその環境は変わっていません。

例えば、森林伐採をしたとか、畑を開拓したとか、山火事があったとか、新たな出来事があったら理由がはっきりしますが、ここ数年、環境的には何の変わったこともしていないのです。

つまりキノコバエが環境に左右されず、周期的に大量発生している可能性が高いです。

過去の大量発生の経験談を見聞しても「数年周期で終わる」と言われています。

なので一生、毎年続くわけではなく、いつかは終りがあるということです、

ここ数年(2010年以降)の「大量発生」の事例を見てみると、ドクガ科に分類される蛾(ガ)である「マイマイガ」も、岐阜県や新潟県など中部地方、東海地方、北陸地方で大量発生しています。マイマイガの発生も周期的なものだと言われています。(※3)

並行して竜巻や突風、ゲリラ豪雨や降水量に高温、エルニーニョ現象/ラニーニャ現象や、ヒートアイランド現象など温帯の日本らしからぬ亜熱帯のような異常気象に伴っての環境の変化があるのではないかとも疑いました。しかし、ここ数年以前と比較しても特に際立って大量発生と関係のありそうな原因はありませんでした。(※4)

気になるのは「4時間で死ぬ」という寿命です。これを毎日繰り返して勝手に死骸の山を作るので迷惑なのですが、この習性はセミやホタルと似ています。

例えば、素数の年に大量発生する「周期ゼミ」は13年と17年で年次発生集団を分けることで、捕食者が同期して発生する可能性を抑えられるようにしています。(ちなみに2014年と2015年は、13年セミ組と17年セミ組の大量発生時期が重なるので大量発生する)

単独生では捕食者と出会った時に生き延びる確率が低くても、群れになれば自分が狙われる確率は減るという希釈効果を期待した生態ですが、コミュニティで集団発生するクロバネキノコバエを観察していると同じものを感じます。

今のところ分かったのはこれくらいです。

何らかの参考になれば幸いに存じ上げます。

参考文献

※1
「給食パンにハエ」除いて食べるよう指導… 食品廃棄の是非など考える好機
https://sankei.jp.msn.com/life/news/131011/trd13101107460002-n1.htm
※2
川辺町役場 産業環境課 クロバネキノコバエ類の対策方法等(情報提供)
https://www.kawabe-gifu.jp/?p=7691
※3
今年も街を覆い尽くす。なぜマイマイガは大発生するのか?
https://matome.naver.jp/odai/2137549427065680901?&page=1
※4
日本の異常気象(気象庁)
https://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/longfcst/extreme_japan/

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