小説家・作詞家のなかにし礼さん(82歳)が2020年12月23日亡くなりました。ご冥福をお祈りします。

なかにし礼さんは2012年に食道がん。その後再発して、がんの病と戦っていました。

なかにし礼さんは闘病生活の中で2016年に東京新聞のインタビューを受けています。

この中で「空」について語っています。

なかにし礼の「空」

がんを美化する気は全くありませんが、自分というものをより一層深く理解する機会を与えてくれたなとは思います。それは、大量の吐血をした時でした。がんが気管支の膜を破る穿破(せんぱ)が起きたと思いました。「あと四日の命か」となった時に、今まで見たことがない景色、空気、光、違うなあ、もっとすがすがしい、禅でいうところの「空」を体感した。生でもない、死でもない、生と死をつなぐ途中の世界にいたんです。
(中略)
がんと闘っている人たちには、自分と対面することを楽しめと言いたい。そうすればおのずと、どう生きるべきか、どう闘うべきかということが出てくるのではないでしょうか。自分の心も体も日々変幻していくから、そこから一歩離れた自分を見いだしてほしいと思います。

がんと生きる 東京新聞 2016年5月21日 02時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/3239

なかにし礼「あと四日の命かとなった時に「空」を体感した。生でもない、死でもない、生と死をつなぐ途中の世界」
(2016)

「空」とは有と無の上位概念です。
あるようでないもの。ないようであるもの。

です。


「空」と「瞬間生」

あなたが明日、死ぬと言われたらどうするでしょうか?

自らが死に向かっているのに、生きているのが不思議に思いませんか?

それが何年も続くとしたら。。

自分は生きているのか、死んでいるのか分からなくなります。

これは自らがもうすぐ死ぬという余命宣告を受けた人が実感する世界です。

そんな時、未来の不安が今という一瞬に圧縮され、過去の後悔と一体化する瞬間があります。

「今(刹那、瞬間)」に有も無もすべてが集中されるのです。

これが「空」。

そして生と死の瞬間刹那に消える瞬間生。
「純現実(レアレテ)」と言います。

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