光線療法で光を当てることにより、皮膚近くのビリルビンが酸化されやすい状態となり、酸素と反応して光酸化反応を起こし、ビリルビンはフォトビリルビンとなり胆汁中へ排泄される。
光線療法の作用機序はこのような光酸化作用によるものと考えられてきたが、最近は光異性体化作用が主であり、これによるビリルビン構造の変化、すなわち水に解けやすい形に変わることで胆汁中に排泄される。
黄疸の原因、日齢、出生体重、核黄疸増強因子の有無等を考慮し、総ビリルビン値から治療開始基準が定められている。
基準値より2~3低下したとき光線療法の中止の目安とする。

●光線療法施行時の看護
①光線療法前に保育器の温度、湿度を点検し、患児の体温の測定を行う。
②光線療法のユニットは、患児との距離が40~50cm.となるようにセットする。
③患児は裸にし、網膜に対する光による障害を防ぐ目的でアイマスクを使用する
(閉眼している事を確認してから覆う)また仰臥位時には性器保護も行う。
アイマスクは8時間ごとにはずして、眼清拭を行い、眼脂の有無、角膜や眼球を観察する。
アイマスクは1日1回交換するが、眼脂がある場合は適宜交換する。
皮膚の弱い児には、アイマスクの粘着部を取り除き、非刺激性絆創膏で固定する。
アイマスクによる鼻空圧迫の有無も観察する。
④体位変換は2~3時間ごとに計画的に行い、腹臥位にできる患児には背部にも照射する。
⑤体温は1~2時間ごとに測定し、適温を保持する。
コット収容児は、コット内に寒暖計を置いて環境温を測定する。
⑥皮膚を保護し、保清に努める。
下痢便や発疹が現れる事があるので、清拭し皮膚を清潔に保つようにする。
⑦照射中は次の観察を行う
黄疸の程度、皮膚色、活気、哺乳状態、モロー反射、チアノーゼの有無、皮膚の乾燥、発汗の状態、出血傾向、発疹、尿便の量・性状、水分バランス、光線療法の合併症であるブロンズベビー(皮膚が暗緑褐色を呈する)等。
⑧光線療法中は、チアノーゼが観察しにくい、敗血症の診断が不明確になる等の問題があるので全身状態に注意する。
⑨血清ビリルビン値は低下しなくても、肉眼的に黄疸が軽減する場合があり、イクテロメーターによる黄疸の判定は信頼性を欠くので、光線療法の効果は、血清ビリルビン値により判断する。
⑩記録を行う
光線の照射時間(照射開始時間、休止時、終了時間)、照射量、バイタルサイン、照射中の観察事項等
⑪副作用の有無の観察

●光線療法時の副作用
1.ヒトの新生児で実際に経験された副作用
①発熱
②一過性の発疹
③緑色軟便
④尿の黄色調増強
⑤不感蒸泄の増加
⑥皮膚、血清、尿の暗灰褐色着色と貧血
⑦黄疸、チアノーゼを見にくくする
⑧敗血症の診断を困難にする

2.一時唱えられたが現在否定的となったもの
①成長の遅延
②血清アルブミンのビリルビン結合能低下
③溶血の促進

3.可能性
①網膜に対する障害
②ビリルビン以外の体物質の破壊
③性成熟年齢への影響
④生理の昼夜リズムへの影響
⑤(少量ではあるが)特殊線放射による影響
⑥治療灯装置からの電流の漏れ

留意点
・母親や家族が不安を生じさせないように事前の説明を十分に行う。
・面会時には中断し、アイマスクをはずして抱いてもらうなど母親の接触の妨げとならないようにする。