禅寺修行で学んだ心理学の縁の機能

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消息を絶ち密かに剃髪して京都の禅寺で修行していた私のカウンセラー仲間の友人は、もとより全てを支配する(仲の悪い)親家族から距離を置きたいと言っていました。
エリート家系で何の苦もなくエレベーター式生きてきた彼は、熟考の末「自分が家から離れられないのは胃を支配されているからだ」と洞察していました。

元は私の冗談まじりの軽い勧めでしたがまさか実行に移すとは・・。
仕事で出張だと家族知人にウソを告げ、スマホ捨てて連絡先全削除しての出家。
帰ってきた彼はオーラが清流のごとく変化しており、呼吸と姿勢が良くなっていた。「オーラが植物の域に達してるがどうしたんだ」とつい聞いてしまいました。

特に家事スキルが上達したようで「これで親に胃を支配されることはなくなった」と言っていました。
毎日、朝の粥座(しゅくざ)と夜の薬石(やくせき:夕食)で何十人分も作り続けたようです。
今では「親に食事を作り返すことで胃は支配されない」と親へ食事を作り返す(復讐?)をしています。

当然ながら親には怒られたようでしたが、それはまだしも親戚連中まで怒りにきて「エリート公務員になることこそお前の道であり…」と説教するので、いよいよ鬱陶しくなってきたと彼は語っていました。

なぜに家以外の連中が一個人の意思決定や進路まで妨害して決めようとしてくるのか。自由を阻むのか。


縁の機能としての対象恒常性


体験として面白かったのは「対象恒常性」と「対機説法による理想」。
どんな集団になっても、誰かが父親役割や母親役割を求め、引き受けようとするのです。
その気がなくても自然に出てしまうのです。

まさに「縁」の機能。集団の中心に長いこといるとそれに気づくことができます。

なぜ非日常に行ったはずが日常回帰するのか

対機説法(相手に合わせて教えを説く)だが、和尚がかなり社会常識に凝り固まっていたようです。
つまり修行者が社会からの外れ者が多いせいで、逆に心理的な鏡(ミラー)としての役割を引き受けて理想化が行われてしまっていたということです。

苦(ドゥッカ)を克服するためには逃避するのではなく、面と向かって一度は立ち向かわないといけません。
それは同じことを繰り返すという意味ではなく、自分がどうしてそうなったかをしっかりと認めて内省することです。
しかし、相手あるいは自分が、その「鏡の役割」を引き受けてしまうと社会の申し子みたいになってしまいます。

どこまで意識的にそれができるかが問題である。

日常から逃避して非日常を求める集団だと、中心の和尚が逆に日常的な役割になってしまいます。

立場上、自己心理学で言う父親役割の「理想化」が起こります。

対象恒常性(人は無意識に内なる親役割を求めて安定しようとする)によりそれが「縁」として機能するので、非日常から日常回帰が起こるのです。

私も短期間ではありますがその禅寺で修行していました。
和尚に恫喝されることもそうでしたが、日課の中でも食い上げ(残った料理を食べつくすこと)は苦しいものであり、
作務(さむ:掃除とかの労働作業)ではやることのネタ切れを起こします。

一人でやる分にはいいですが、集団をまとめようと思うと大変になります。

「ミラーの法則」と「マジカルナンバー7(±2)」により、記憶メモリと同じように7つ前後が大体の限界値なのです。

集団でも7人がぎりぎりで、それ以上はチャンクとして階層化しないといけません。

多すぎるとパレートの法則(2:8法則)のや社会的手抜きも発生しやすくなります。

意識しなくても動作と姿勢で形に表れる

禅寺修行で気づいたことには「短気な人の家のモノはすぐ壊れる」ということです。
意識しないうちに、無意識でモノを雑に扱うので、しょっちゅう壊れます。食器や機械や雑貨に至るまで。
「また壊れた、なんで、なんで」と騒ぎますが、自分に問うて見ることはしないうちはまた同じことを繰り返すのです。

作務はヴィパッサナー

作務はヴィパッサナーなので、先に概要を説明してからやった方がいいと思います。

なんでも姿勢で示そうとするから時間がかかるのです。

動作や感情にサティを入れてラベリングすることでメタ認知として抽象度が上がります。

パターン化されれば無意識でもレジリアンス(精神的回復力)が超高速になり、ストレスから解放されます。


外では自分どこに「コミット」してしまっているのか。

内では自分は誰の「役割」を引き受けてしまっているのか。

という内外の表裏一体の問題は常に内省して洞察する必要があります。

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記事を書いた人



時田憲一(ときたけんいち)こと時ニール(tokeyneale)です(・ω・)ノ
とある国立大学の教育学部/心理発達科学。心理学者・認定カウンセラー。動機付け理論・自己愛・対人関係が主な研究領域。数理統計データサイエンティスト。
ねこ好き・本好き・禅好き・PC好き。

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